浅間神社社殿

平成10年(1998)、東京都の防災再開発事業に伴い、社殿は富士塚よりこの場所に移動され富士山の邦楽(西南)に向けて建てられている。形式は、前面より拝殿、幣殿、本殿がエの字型に配された、近世以降の神社形式の基本形である。木造建築。建築年代は昭和9年(1934)。

拝殿は、間口二間半(455cm)、奥行二間(364cm)。正面向拝付。階段四級。四周に回廊付。床は寄木板張。壁は正面の中央柱間を出入口とする。天井は格天井(天井絵付)。屋根は入母屋造胴板葦。幣殿は、間口二間(366cm)、奥行一間(182cm)。床は板張。天井は拝殿と同じ格天井だが絵はない。屋根は切妻造銅板葦。本殿は、一間社流造。間口七尺(214cm)、奥行七尺(214cm)。正面に特殊な向拝を付ける。階段四級。左右側面に回廊付。向拝部分より板戸を付け、出入りする。床は板張。屋根は銅板葦とし大棟に鰹木五本、両端に千木を置く。

特徴としては、拝殿の肘木、木鼻の彫刻が丁寧に造られ、格天井の格縁内に描かれた絵は他に例を見ない。幣殿の左右両通りの扱い方、本殿の回廊、向拝の扱い方が特殊である。建築年代は比較的新しいが、拝殿、幣殿、本殿の三建築がそろって残っており、古い形態をよくとどめている。戦災を免れて今日に伝えられた木造の神社建築として貴重である。

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20130317_浅間神社社殿5平成23年に拝殿格天井を全面改修、氏子崇敬者の皆様より48枚の天井画を御奉納頂きました。 天井画の制作には江東区美術協会所属の7名の画家にご協力頂きました。